捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
「その時はこの『魔銃』を使うわ」

 ローブの下から引き抜いたのはシルバーのボディに複雑な術式が組み込まれた模様が刻印されて、グリップは黒い魔物の皮で包まれている。魔力を込めて引き金を引けば、魔力が濃縮された魔弾がボディの先にある銃口から超高速で飛び出て敵を仕留める。ある程度の遠距離でも攻撃できる優れた武器だ。
 殺傷力は魔銃に込める魔力の量で調整ができる。あまり他の人の目に触れさせたくないので、腰に着けた専用ホルダーにクロスさせるように二丁の魔銃をおさめていた。

「なんというか……凛々しいお嬢様に惚れ直しました」
「えっ!? そ、そうかしら? では出発しましょう!」



 アレスの熱のこもった瞳に動揺して、慌てて木々が鬱蒼と生い茂る森へ転移魔法でやってきた。ここでは主に魔物から取れる希少な水晶や、硬くて加工しやすい木材の採集をする。

「それではお嬢様、魔物があらわれたら私が対処しますのでその時は下がっていてくださいね」
「わかったわ」

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