幸せを受け止めて~騎士団長は月夜に淑女をさらう~
クララが目を覚ましたのは翌日の朝だった。
相変わらず全身が痛いが、ずいぶんと気分が良くなった。
「昨日、お薬を飲んでくださったようなので、熱は収まってくれましたね。」
様子を見に来てくれた看護師がクララの熱を計ったり、点滴を入れたりと世話を焼いてくれる。

「薬・・・?私、昨日はずっと寝ていたのよ。」
「あら、でもこちらの薬は空になっていますよ。昨日は意識が混濁していらっしゃったから、記憶があいまいなのかもしれませんね。」
看護師の言う通り、自分の記憶にないだけで薬を飲んでいたのかもしれない。
クララは腑に落ちなかったが、薬が無くなっているということはクララが飲んだのだろう。
王妃を抱えて落馬してからの記憶がほとんどないが、
誰かがそばで自分に寄り添ってくれていた気がするのだが、これも気のせいなのだろうか。
睡魔が再び襲ってきたので、クララはそのまま夢の中に落ちて行った。

クララが目を覚ましたと聞いて、たくさんの人が見舞いに訪れた。
ルーカスとレオンだけでなく、王宮警備につく同期達も忙しい合間を縫って顔を出してくれる。
同期とは最近ではあまり顔を合わすことがなかったが、
同期の絆を感じることが出来てクララは嬉しかった。

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