幸せを受け止めて~騎士団長は月夜に淑女をさらう~
2カ月ぶりにクララが騎士団へと復帰する日、
ギュンターは朝からソワソワしていた。

クララが来たらどんな言葉をかけようかとそればかり考えている。
クララが騎士団と距離を感じないよう、1週間に1度のペースでカードを送っていたが
対面するのは本当に久しぶりだ。
(やっぱり最初は体調を気遣う言葉をかけないと。それから・・・)
ギュンターがあれやこれやと思いめぐらせていると、執務室の扉がノックされる。

「おはようございます。本日から職務に復帰いたしますクララ・フォン・ラーデマッハーです。団長にご挨拶に参りました。」
久しぶりのクララの声だ。
ギュンターは、「どうぞ」と極めて冷静に返事をする。
扉の向こう側に姿を見せたクララは少しやせたように思うが、すっかり元気なようだ。
「待ってたよ、クララ。身体はもうすっかり良くなったんだね。」
そう言いながら、思わずクララに近づいて行ったギュンターだったが、
クララの後ろの人物に気が付いて立ち止まる。
(そりゃそうだよな、復帰当日は父親が付き添っても不思議じゃないか。)
ラーデマッハー中将に「クララに無理をさせるな」としっかり釘を刺されたギュンターは、
すっかり仕事モードへと切り替えていた。
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