幸せを受け止めて~騎士団長は月夜に淑女をさらう~
衝動的ではあったが、
軍隊に入ろうと決意したギュンターは早速行動に移す。
まずは広告の募集要項を確認する。

学力試験は全く問題ない。
健康診断書の提出が必要だが、ギュンターに持病はないしこれも大丈夫だろう。
念のため、今日から筋トレで身体を絞っておかなくては。
卒業証明書は6月の卒業式でもらえるからそれを提出すればOKだ。
残るはーーー推薦状。
推薦状と言っても身元保証人のようなものなので、
社会的身分がある人のサインがもらえればいい。
ロートシルトの父からもらえれば間違いないだろうが、
軍隊など反対されるに決まっている。
出来れば彼らには事後報告で済ませたかった。

ロートシルトの父がダメなら。
もう長いこと会っていない血のつながった父はどうだろうか、
そんなことをふと思う。
貧乏だったとはいえ、彼もれっきとした男爵で貴族だ。
身元保証人は十分務まるだろう。
最近では手紙をやりとりを交わすことは少なくなってしまったが、
久しぶりに顔を出してみようか。
そう思い立ったギュンターは次の週末に
早速生まれ育った村を訪れることにしたのだった。
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