幸せを受け止めて~騎士団長は月夜に淑女をさらう~
「いろいろあって。その決められたレールを歩くだけの人生はどうなのかと思ってさ。自分の実力だけでどこまでいけるか試してみたいと思ったんだ。」
「あなたのお父様はそれを了承されたの?」
カロリーネの声が心なしか震えていた。
「猛反対されたよ。でも反対されるのは分かってたから。」
「一生軍人として過ごすつもり?」
「それは分からない。両親にはいずれは後を継ぐつもりだとは言ったけど、こんな勝手なことをしたから縁を切られるかも。またどこかから優秀な子を養子に迎えるかもしれないしね。」
「そう・・・」
「でもさ、カロリーネ。」
不安そうな表情のカロリーネの手を握りしめて、ギュンターは続ける。
「軍隊だって十分高給取りだし、生活の保障も手厚い。俺も頑張って出世するし、カロリーネを幸せにすると約束する。だから、俺と結婚してくれないか?」
ギュンターのプロポーズにカロリーネは即答してくれなかった。
「そう・・・ね。突然だったから、なんと答えていいのか。ちょっと時間をくれる?」
愛し合っている2人が一緒になることに、何を考えることがあるんだろうか。
カロリーネの返事に疑問を抱きつつもギュンターは了承する。
「こっちこそ、突然こんなこと言うから驚かせちゃったよね。ごめん。ゆっくり考えて返事をくれると嬉しい。」
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