幸せを受け止めて~騎士団長は月夜に淑女をさらう~
「私たち、もう一度やり直しましょう。」
しおらしくそんなことを言うカロリーネに、
ギュンターはもはや何の情もわかなかった。
「ずっとあなたに謝りたかったの。あの時の私は目の前のことしか見えていなくて、あなたの気持ちに応えることが出来なかった。でも今は違う。あなたのことを愛しているわ。」
思ってもいないことをよくもこんなにすらすらと言えるものだ。
ギュンターは冷めた目でカロリーネを見つめ返す。
「君は既婚者だろう。」
「夫は内戦で亡くなったわ。だから私は一人よ。」
「そうか。」
ギュンターはおもむろにティーポットを手に取ると、
中に入っていた紅茶を躊躇なく床にぶちまけた。
「何しているの、ギュンター!」
「ねぇ、カロリーネ。東の国には『覆水盆に返らず』ということわざがあるんだって。一度起きてしまったことは二度と元には戻らないという意味だ。俺はあなたとやり直すつもりはない。もしあなたがこの床にぶちまけられた紅茶を一滴残らずティーポットに戻すことが出来たなら、その時は考えよう。」
ギュンターはそう言うと、
立ち尽くすカロリーネを残して部屋を後にした。
しおらしくそんなことを言うカロリーネに、
ギュンターはもはや何の情もわかなかった。
「ずっとあなたに謝りたかったの。あの時の私は目の前のことしか見えていなくて、あなたの気持ちに応えることが出来なかった。でも今は違う。あなたのことを愛しているわ。」
思ってもいないことをよくもこんなにすらすらと言えるものだ。
ギュンターは冷めた目でカロリーネを見つめ返す。
「君は既婚者だろう。」
「夫は内戦で亡くなったわ。だから私は一人よ。」
「そうか。」
ギュンターはおもむろにティーポットを手に取ると、
中に入っていた紅茶を躊躇なく床にぶちまけた。
「何しているの、ギュンター!」
「ねぇ、カロリーネ。東の国には『覆水盆に返らず』ということわざがあるんだって。一度起きてしまったことは二度と元には戻らないという意味だ。俺はあなたとやり直すつもりはない。もしあなたがこの床にぶちまけられた紅茶を一滴残らずティーポットに戻すことが出来たなら、その時は考えよう。」
ギュンターはそう言うと、
立ち尽くすカロリーネを残して部屋を後にした。