幸せを受け止めて～騎士団長は月夜に淑女をさらう～

ウィリアム国王から返還されたクララは
肌艶もよく元気そうだった。
ウィリアム国王やローリー卿にも怯えた様子を見せないので、
ひどい扱いは受けていないようだ。

マグノリア陣営のテントに戻り、
父親と談笑するクララを見つめていると
パッと視線をあげたクララと視線がぶつかる。
頬を紅く染めてうつむくクララにこちらも思わずドキッとしてしまった。
（なんでクララが俺を見て赤くなるんだ？それってちょっとは期待しても良いのか？）

その夜、
ギュンターは不謹慎だとは思いつつもクララのテントを訪ねた。
（落ち着け。部下の体調を確認するのも上司の務めだ。）
ギュンターの訪問に驚きつつも、クララはギュンターを通してくれた。
ちょうど飲もうと思っていたからと、ホットコーヒーを入れてくれる。
「ウィステリアでは怖い目に合わなかったか？」
「そうですね、危険な目には合わなかったです。アランさんと一緒に王妃様の手がかりを探すのが探偵みたいで面白かったですね。」
「どうやって探したの？」
「ウィステリアに観光に来た夫婦という設定で、情報収集を行いました。すると、王妃様がたまにいらっしゃる洋菓子屋さんがあるという情報を得たので、その洋菓子屋の体面にあるホテルに宿を取って、王妃様が現れるまで二人で何日か張り込みしました。」