幸せを受け止めて~騎士団長は月夜に淑女をさらう~
しかし、もう決まってしまったものは覆せない。
騎士団内の班長と連携して、
新人をどの班に配属し、どのように教育していくかを決定する。
今年の新人はルーカス、レオン、クララの3人だ。
ルーカスとレオンはそれぞれ欠員が出ている班に、
クララは最もベテランの班長であるオズワルドの班に配属させることにした。

そして今日は入団の日。
新人団員3名は真新しい騎士団の制服に身を包んで、
初々しい表情を浮かべている。
入団者たちの顔を見ていると、ギュンターは自分が入団した時のことを思い出す。
この子たちは一体どのような騎士になるのだろうか。

例年入団式は団長と新人が配属される班の班長が出席するだけの簡素なものなのだが、
今年はギャラリーが多い。
みんなどんな女の子が入団してくるのか興味津々なのだろう。
(女の子の新人が来るというだけで大騒ぎだったからな。)
クララは女性にしては背が高く、金髪に青い目のクールビューティーだった。
強面のラーデマッハー中将とは全然似ていない。
(顔だげで言えば、ちょっと好みのタイプだな。)
思わずそんなことを考えてしまい、ギュンターは動揺してしまう。
その表情を一瞬クララに見られた気がしたが、
何事もなかったかのように取り繕った。

「ようこぞ、騎士団へ。今日から君たちは我々の大事な仲間だ。鍛錬に励んで、立派な騎士に成長してほしい。」
ギュンターは新人団員とがっとりと硬い握手を交わした。
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