幸せを受け止めて~騎士団長は月夜に淑女をさらう~
父親主導のお見合い話なら、クララが乗り気である可能性は低い。
ファーレンハイト家との縁談に前向きなら、
わざわざ手紙であんなことは書かないはずだ。

クララを自分のものにするなら、
その歓迎パーティーになんとか潜り込んでクララを奪うしかない。
さて、どうやって潜りこめばいいのか。
招待客として招かれるのはラーデマッハー家と普段付き合いのある家や
クララの友人たちだろう。
ギュンターに招待状が届くことはない。
ラーデマッハー大将から招待を受けるのが確実だが、
もっともらしい理由がなかった。

確実な伝手がどこかにないだろうか。
しばし考え込んだギュンターはハッと閃く。
(そうだ、あの男がいるじゃないか。)
ギュンターは早速その夜、その男の元を訪れることにしたのだった。
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