幸せを受け止めて~騎士団長は月夜に淑女をさらう~
あの時の新人たちが入団から数年が経ち、
ルーカスやレオンはそれぞれの班の先輩とも打ち解けて、
いきいきと任務に邁進していてギュンターは安心していた。

問題はクララだった。
オズワルドの報告では訓練にも毎日参加して、
任務にも真面目に取り組んでいるという。
だがやはり、団内で浮いた存在になってしまっている。
今まで女性がいなかったので、みんなどう接していいか分からず持て余しているのだ。

訓練メニューでは二人一組で行うものもあるが、
誰もクララとは組みたがらない。
女の子に手加減していては訓練にならないし、
万が一クララに怪我をさせて中将の耳に入ったらどんなお咎めがあるかと恐れているのだろう。
団の食堂では同期のルーカスやレオンが気遣って一緒にご飯を食べるなどしているが、
彼らがいないときは一人で食事しているようだ。
夕食時には非番で酒が入った団員からセクハラまがいの絡み方をされていたと報告を受けたこともある。

クララは男性に比べるとやはり非力な部分はあるものの、
乗馬の腕は団内でも指折りの実力だ。
ギュンターでも扱うのに苦労する暴れ馬をいとも簡単に乗りこなしてしまう。
なんとか騎士団に馴染めるようにしてやりたい、
そう思ったギュンターは意識的にクララに話しかけるようにしていた。
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