幸せを受け止めて～騎士団長は月夜に淑女をさらう～
（つまらないな。）
クララは今日も一人ぼっちで夕食を食べていた。

乗馬が大好きだったクララは騎士団に入ることが昔からの夢だった。
だから騎士団に配属されたときはものすごく嬉しかったし、
どんなことでも頑張ろうと希望に胸を膨らませて入団した。

だけど現実はクララの思い描いた通りにはいかない。
入団当初は女の子ということでチヤホヤされていたものの、
次第に腫れ物に触るような扱いに変わっていった。
訓練で2人1組になる時には誰も自分のパートナーになってくれないし、
自分の手柄も失敗も、
全て「ラーデマッハー中将の娘」というフィルターを通して語られる。
夕食時にたまに酔っぱらった非番の騎士団員からセクハラされることにも
クララはうんざりしていた。

でも騎士団を簡単にやめるわけにはいかない。
クララの実家は軍人を多く輩出する家系ではあるものの、
両親はクララが軍人になることに否定的だった。
その反対を押し切って入隊したのだから、
こんなことでこのキャリアを投げ出すわけにはいかないのだ。

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