幸せを受け止めて~騎士団長は月夜に淑女をさらう~
結婚式当日はカラッと晴れあがり、
ガーデン挙式にはうってつけの日和だ。
ラーデマッハー伯爵家には朝から続々とゲストが訪れている。
その中には、クララたちと大騒動を起こした
ファーレンハイト家のマルクスとその婚約者ベアトリーチェの姿もあった。

ファーレンハイト辺境伯夫妻は家格の違いに恐縮していたが、
マグノリアとの友好関係を深めたいと思っていたダンデリオン大公は
マルクスとベアトリーチェの婚姻に大賛成。
無事に婚約が認められた。
ユリウス国王もこの縁談に好意的で、
ダンデリオンから姫君を迎えるなら恥ずかしくないようにと
辺境伯領の再整備に国庫を開いてくれた。

南の温かな気候がそうさせるのか、
ベアトリーチェはマルクスへの愛情を全く隠そうとしない。
周囲が気恥ずかしくなるほどの熱々ぶりだ。
「プリンチペッサ ベアトリーチェ、お会いできて光栄です。」
マルクスしか見ていないとでも言うようなベアトリーチェに声をかけたのは、
ユリウス国王だ。
「あら、ケーニヒ ユリウス。こちらこそ初めまして。ご挨拶が遅れて申し訳ございません。」
ベアトリーチェもすかさずユリウスにカーテシーを行う。
「我が国に来ていただけること、大変嬉しく思っています。大公殿下にもよろしくお伝えください。」
「陛下のお心遣いに感謝しております。マグノリアでの人生を私も楽しみにしています。」
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