幸せを受け止めて~騎士団長は月夜に淑女をさらう~
ユリウスとベアトリーチェのように
ゲスト達が談笑していると、純白のタキシードに身を包んだギュンターが現れる。
高身長かつ見事に鍛え上げられているので、
その立ち姿は惚れ惚れするほど美しく様になっている。

そしてしばらくすると・・・
花嫁の登場に観客がどよめく。
が、それは花嫁への賛辞以外の理由も含まれていた。
というのも、通常の結婚式ではありえない花嫁の登場の仕方だったからだ。

繊細なレースがあしらわれた長袖のクラシカルなドレスに身を包んだクララは
何と愛馬に跨って現れた。
クララの愛馬はラーデマッハー伯爵家の紋章が入った鞍が装着され、
手綱はラーデマッハー大将が引いている。

最初にこのアイディアをクララから聞かされた時は
大丈夫かなとギュンターも心配したが、
やはり馬を愛するクララに相応しいと思う。
クララの胸元にはもちろん、
ギュンターが贈った馬蹄のネックレスが輝いていた。

馬に乗ってギュンターの待つチャペルまで行くと、
ラーデマッハー大将がクララの腰を持って馬から降ろす。
クララは父と短い言葉を交わすと
ギュンターと腕を組んで司祭の元へと向かった。
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