幸せを受け止めて~騎士団長は月夜に淑女をさらう~
翌日。
ギュンターの腕に包まれてクララは目を覚ます。
昨夜のことを思い出すととても恥ずかしいが
それよりも幸福感がクララを満たしていた。

”初めては痛いけど、時期に気持ちよくなるから大丈夫よ”
既に既婚者の友人たちからそんなアドバイスをもらっていたが、その通りだった。
ギュンターは言葉攻めとは裏腹にとても優しかった。
痛がるクララを気遣って、ゆっくりゆっくり進めてくれた。
まだわずかに下腹部に鈍痛が残るが幸せな痛みだ。

「おはよう、クララ。」
ギュンターも目を覚ました。
「大丈夫?体調はどう?」
クララのお腹をさすりながらギュンターが優しく聞いてくれる。
「平気よ。」
幸せを噛みしめながら、クララはギュンターの胸に顔を埋めた。
「クララの中が気持ち良すぎて、全然我慢できなかった。」
恥ずかしげもなくギュンターがそんなことを言うので、
クララはギュンターの胸をバシバシと叩いた。

騎士団に入った頃はまさか自分が結婚するなんて思わなかったし、
こんなにも大好きな男性と結ばれるなんて夢のようだ。
きっとこの幸せはずっと続いて行くだろう。
根拠は何もないけれど、確かな自信がクララにはあった。
これ以上ないぐらいの幸せを受け止めて、クララはギュンターとともに夢の中に落ちていくのだった。
< 86 / 97 >

この作品をシェア

pagetop