幸せを受け止めて~騎士団長は月夜に淑女をさらう~

≪後日談≫待ちに待った天使

「はぁ・・・今月もダメだった。」
クララはため息をついた。

結婚して以来、
ギュンターとクララは仲良く幸せな家庭を築いていた。
ロートシルトグループの重役として世界中を飛び回るギュンターは
スケジュールに問題がなければクララを出張に同行させてくれることもあり、
今まで行ったこともない国々に滞在する毎日は
とても刺激的で楽しい。

それでもやはり離れて過ごす時間も多く、
その分一緒にいられる時間をギュンターは大切にしてくれた。
だからクララには何の不満も無かったが、
たった1つだけ悩みの種があった。
なかなか子を授かることができないのだ。

妊娠するためにはタイミングを合わせる必要があるので、
ギュンターはなるべくその時期には家にいるように図らってくれるが
なかなかうまくいかない。
”思いつめる必要はないよ。ゆっくり行こう。”
ギュンターはいつもそう言ってくれるが、
どうしてもクララは自分を責めてしまう。
(軍隊で身体を酷使していたから、妊娠できにくい体になっちゃったのかな。)
毎月やって来る憂鬱なアレが今月もやって来て、残酷な現実を突きつけられる。
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