幸せを受け止めて～騎士団長は月夜に淑女をさらう～

「それで、何を悩んでいるの？」
唐突にアランがクララに尋ねる。
「え？」
「職業柄、悩みを抱えている人の顔はなんとなく分かるので。」

クララは今まで女友達にでさえ相談したことがなかったが、
アランは医者だ。
何か良いアドバイスがもらえるかもしれない。
「あのね、お医者様としての意見を聞きたいんだけど。なかなか子どもが出来ないのは、女性の身体に問題があるのかな？」
思い切ってクララが切り出すと、アランはしばし黙った。

「詳しく診察したわけではないからはっきりとは言えないけど。」
妊娠・出産はデリケートな問題だ。適当なことを言ってはならない。
「不妊は女性の問題とは限らない。男性に問題がある場合もありえる。だからクララが自分を責めるのは時期尚早だよ。ご主人は妊活に協力的？」
「うん。」
「なら良かった。もし本当に原因が知りたいなら、ご主人と一緒に診察を受けるべきだ。もしその気があれば連絡して。産婦人科の名医に紹介状を書くよ。」
「本当？ありがとう。」
「あんまり気を詰めすぎないで。精神的な部分もすごく大きくて、リラックスした気持ちで日々を過ごすと思わぬ時にやって来てくれるかもしれないから。妊娠って本当に奇跡の連続なんだ。」
「うん、ありがとう。ちょっとスッキリした。そしてパフェご馳走様。」