スキがない総長に隙が生まれた日(短)



*蒼羽*




俺にとって学校は面白くないところ。

俺を怖がって誰も寄り付かないから、

もちろん友達もいない。



「(いい。一人には慣れてる)」



一人きりの暴走族。

白狼の総長・俺こと夜野蒼羽。

色白の一匹狼。



学校でも暴走族でも一人きり。

そんな俺に、まとわりつく嫌な過去。



「っ!」

「あ、よ、夜野く……ごめ、」



クラスの人が、俺の背後にいた。

そんな、たったそれだけの事で…嫌というほど反応してしまう俺。



たかが一回、万引き犯にされただけで。

後ろから未精算の商品をカバンに入れられただけで…



「(それがトラウマになるなんて…情けない)」



俺の毎日は、そんな風に。

常に影の中を進むように、時計の針が進んでいた。



あの日までは――



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