スキがない総長に隙が生まれた日(短)
「はーい、皆、番号を取ったかー?黒板に書かれた番号を見て、静かに引っ越し開始しろー」
担任ののっぺりした声に、嬉しがったり悔しがったりするクラスの人の声が被さる。
「私一番前だよー!」
「俺窓際じゃん、やった~!」
そんな声が四方八方から聞こえる。
だけど……
当たり前だけど、俺には関係ない。
「(どこにいっても、どうせ一人だし)」
そんな事を思って、移動した。
その先に、君がいたんた。
「よ、よろしくね…、夜野くん…!」
「……」
震える声で、汗をにじませながら…
俺に対して恐怖心があるにも関わらず、その人は俺に向かって挨拶した。
「(この人は確か、日向明里)」
違うクラスの男子と、よく一緒にいる人だ。
「…よろしくね」
「! う、うんっ」
そう返事した時の、彼女の笑顔が眩しくて…
俺は思わず、強く瞬きをした。
ギュッと。
強く。強く。
だけど眩しいほどの光は、俺が瞼を閉じても尚、目の中に入って照らし続ける。