スキがない総長に隙が生まれた日(短)
「よ、夜野くん…?」
「……、何でもない」
ひなた あかり
名前からしてとんでもなく明るそうな子が、俺の隣の席の人。
「な~眩しいからカーテンしめていいかー?」
窓際の人が、シャッと勢いよくカーテンをしめる。
すると一瞬にして、教室に入ってくる日光が遮断された。
だけど、俺だけは違った。
「(なんでだろ…まだ、眩しい……)」
俺を照らす、久々のあかり。
それが君の笑顔だったなんて、この時の俺は分かるはずもなく。
そして、
『あれ…ここは、どこ?』
『ん?』
『私は…誰?』
『……』
君が記憶喪失のフリをして俺と同棲するツワモノだったなんて…
君にそんな意外な一面があるだなんて、この時の俺は知るはずもなかった。
これが、俺と君が出会った日。
隣同士の席になった、運命の日。
俺と君の物語が動き出す、始まりの日。
【スキがない総長に隙が生まれた日】
< END >