捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
15話 お断りします!
クリフ商会長は尻尾を大きく左右に振って、いまかいまかと私の返事を待っている。ここはビシッとはっきり断らなければダメだ。
そう理解したのと同時にアレスが私とクリフ商会長の間に入り、背筋が凍りそうな冷めた声で言い放つ。
「俺の妻にこれ以上言い寄るな。この国ごと吹き飛ばすぞ」
「なにっ!? もう結婚してるのか!?」
アレスの言葉で獣人変身セットを外し、私が違う種族だと見せた。
そこで一気にしょんぼりするクリフ商会長に申し訳ない気持ちになるが、私はアレス以外は愛せないので仕方がない。ここですっぱりあきらめてもらった方がこの人のためだ。
でも、獣人でいう番ということは、他の人は選べないということだろうか? そもそも種族が違うのだから、なにか勘違いしてしまったのだろうか?
「いや、それでもかまわない! オレはお前を番にすると決めた!! オレに振り向いてくれるまで、あきらめない!!」
「私は夫以外愛することはありませんので、お気持ちに応えることはできません。お願いですから、他の方を探してください」
「お前を見つけた後で、他の女なんて選ぶ気にはなれねえ! わかってくれ!!」