捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
「いえ、それはもう気にしていません」
「本当か!? やっぱりオレのロザリアは海のように心が広いな!」
「俺の妻を呼び捨てにするな」

 ピリッとした魔力がアレスから放たれて室温が下がったのに、クリフ商会長は笑顔を浮かべている。獣人は気温変化に強いのか、まったく気にならないようだ。

「……私にはすでに夫がおりますので、そのような発言は控えてください」
「あっ、悪いな、つい……それで、ロザリアさんはレッドベリルを探してるので間違いないか?」

 クリフ商会長は気まずそうにしながら、話題を変えていく。やっと本来の目的を果たせそうだ。

「はい、そうなのです。帝国でも探したのですが、仕入れるまでにかなりの時間がかかると言われ、直接こちらに出向いた次第です」
「そうか……せっかく来てもらったのにすまないが、あいにく在庫が切れてるんだ。こっちで用意するにしても二週間はかかる」

 二週間……だいぶ期間は短くなったけれど、この状態で二週間は私が耐えられない。それにアレスに嫉妬してもらえるのは嬉しいけれど、それだけ心に負担をかけているということになる。

< 108 / 200 >

この作品をシェア

pagetop