捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
16話 出発前夜
レッドベリルの採掘は、クリフ様にもろもろの準備があるというので三日後になった。
その間は私たちものんびりと過ごして、山越えの疲れを癒した。ハイレット様もますます体調がいいみたいで、レッドベリルの採掘は問題なさそうだ。
危険な場所にあるのいうので油断ばできないけれど、レア素材を自ら探しにいくということにワクワクしていた。
「アレス、明日はいよいよレッドベリルを探しにいくのね」
「ああ、だから今夜は抱きしめるだけで我慢する」
「私を気遣ってくれたのね、ありがとう」
そうして早めに眠りにつこうと、アレスの腕の中で目を閉じた。
……だけど興奮が冷めなくて眠気がやってこない。試しに目を開けるとむしろ朝よりもぱっちりとして、ソワソワと落ち着かない。
アレスはもう静かな寝息を立てている。誰よりも早く起きて、誰よりも遅くまで起きていたから、相当疲れが溜まっていたのだ。愛しい夫の寝顔にそっと触れて、労わるように頬を撫でた。