捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
 こんな風に、なにかをしたいと自分から国王に訴えたのは初めてだ。きっと許してくれるとは思っていても、緊張で手が冷えていく。

 いつの間にかぎゅっと握りしめた拳を、アレスの大きな手のひらが優しく包み込んでくれた。大丈夫だと言ってくれているみたいで、肩の力が抜けていった。

「いいよ、行っておいで。事前に断りさえ入れてくれたら、いつでも好きな時に素材探しの旅に出てかまわないよ」

 笑顔を浮かべた竜王様は予想通りの返答をくれた。私はホッと胸を撫で下ろす。

「もしかして僕が許可しないと思っていたのかな?」
「いえ、そんなことはないのですが……このように国王様にお願いするのが初めてのことで緊張してしまったのです」
「ちょっ……ロザリアちゃんがかわいすぎる!!」

 正直に気持ちを吐露すると、竜王様が私の手を取ろうして腕を伸ばしてきた。すかさずアレスが立ち上がり、アイアンクローで竜王様の頭部を締め上げる。
 非常に見覚えのある光景だ。

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