捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
 ロザリアのエメラルドの瞳が不安げに揺れている。
 それもそうだ、今まで素材を集めてきた場所と比べて魔物のレベルがまったく違う。だが、ここで俺が魔物を狩り尽くせば、こんなふざけた状況もさっさと終わらせられるだろう。

「はい、お察しの通りです。周辺の魔物を狩ってまいりますので、十分ほどお待ちいただけますか?」
「アレスが強いのはわかるけど、ひとりで行動するのは危険よ」
「私とお嬢様は番ですから、互いにどこにいるのかすぐに察知できます。ですからひとりで迷うことはありませんし、私が魔物如きにに遅れをとることはありません」

 それでもロザリアは不安そうに俺に近づき、行かないでと言わんばかりにジャケットをキュッと掴んだ。
 どんな時でも俺の身を案じてくれるロザリアの言動に、ひしひしと愛を感じて口角が上がる。これだけで身体の奥から力がみなぎってくると知っているのだろうか?

「さっさと片付けて、早くお嬢様とふたりきりになりたいのです」

 そう耳元で囁くと、ほんのりと頬を染めて潤んだ瞳を俺を見上げる。ロザリアを不安にさせるのは気が引けるが、俺とふたりきりになりたいのは同じようだ。

< 121 / 200 >

この作品をシェア

pagetop