捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
「本当に、大丈夫なの?」
「もちろんです。お嬢様のためなら、この山にいるすべての魔物を狩ってまいりましょう」
「危ないと思ったら、すぐに引き返してね。必ず私のところに帰ってきて」
「承知いたしました」

 ロザリアの額に軽く口づけして、魔物の気配がある森の奥へと駆けた。
 俺が口付けした際に、皇太子と商会長がうるさくしていたがどうでもいい。そもそも他人の妻に手を出そうとしている奴らなど、理解したくもない。まあ、俺のロザリアが魅力的すぎるのは間違いないが。

 森深く入り、俺は覚醒した竜人の力を解放した。
 あふれ出した魔力に辺りの草木がざわりと揺れ、瞳は太陽の如く金色に光り、ねじれた角が現れる。背中からは鋭い爪がついた蝙蝠のような漆黒の翼を姿を見せた。

 ここまで覚醒した力を解放するのは初めてだが、その開放感にどこまでも飛んでいけそうだ。

 だけどこんな化け物のような姿を見たら、ロザリアはどう思うだろうか? それこそ種族の違いをはっきりと目にして、俺を拒絶しないだろうか?

 その考えに飲み込まれそうになるが、必死に否定した。

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