捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
 ……いや、ロザリアは決してそんなことはしない。ずっとそばで見てきたからわかる。例え受け入れられなくても、理解しようとするはずだ。

 すべてを解放した本当の自分を見せることに怖気ずいている。でもひとつだけ変わらないものがあるのは確かだ。
 どんなに怖がられても、気味悪がれても、俺はロザリアを愛することをやめられない。

 気持ちを切り替えて、まだ内に秘めている潜在能力を感じつつ魔物たちの気配を探った。

 そこそこ大きな魔力の個体が百体ほどいる。これなら空からまとめて狙った方が早そうだ。
 この身を流れる竜の血が、翼の使い方を教えてくれる。俺は大きく翼をはためかせ、空へと昇る。

 周囲を見下ろせる高さまを維持して、頭上に手のひらを掲げる。手のひらから魔力を流すと、百を超える青い炎の矢が空一面に広がった。
 
「灰すら残さず燃え尽きろ」

 手のひらを魔物たちに向けて振り下ろす。青い炎の矢は意思を持ったかのように、それぞれの目的へ向かって木々の間をすり抜け獲物に突き刺さった。

 森からは断末魔の叫びが上がり、声とともに消えていく魔物の気配を確認していく。これで俺の半径五キロメートル以内は魔物が消滅した。
 念のためロザリアの半径十キロメートルの魔物を片付けて、ロザリアたちのもとへと戻った。



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