捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
 獣臭くて寝不足気味だったが、起きるとクリフがアレスに食ってかかっていた。

「お前っ! 昨夜ロザリアさんと寝たのか!? こんなところで!?」
「はあ、同じテントで眠りましたが、それがなにか?」
「そういう意味じゃねえ!! ロザリアさんからお前の匂いがプンプンするんだよっ!! こんだけ濃い匂いって……くそっ、オレの番になんてことしてくれたんだ!?」
「誰が誰の番だと? それから、そんな大声で話されるお嬢様のお気持ちも考えてください。デリカシーのない男は嫌われますよ」
「なんだとっ!!」

 話の内容に私も驚いた。ロザリアに視線を向けると、顔を真っ赤にして気まずそうに俯いている。どうやら事実のようだ。

 なんだと!? こんなところに来てまでロザリアを抱くなど、なんて見境のない男なんだ!?
 私は獣人と一緒のテントで寝苦しい夜を過ごしたというのに……!

 だが、私は深呼吸した。今日アレスを片付ける計画の準備が整ったと、昨夜のうちに隠密部隊から知らせが入ったのだ。ここはアレスを山へ連れ出すために、クリフを宥めた。

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