捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
「おいおい! ヤバいぞ! これは素材の採掘どころじゃねえ!!」
「ここはアレス様が一番お強いですから、魔物をお願いいたします! 私たちはロザリア様をお連れし——」

 父上の計画は、アレスに魔物の相手をさせているうちに私たちがロザリアとともに退避して、安全な場所まで避難したら隠密部隊も攻撃を仕掛けて仕留めるというものだ。
 ロザリアを逃すためだといえば、きっとこの男は残るはずだった。

「大丈夫です。お嬢様、一匹一分として、二十分ほどお待ちいただけますか?」
「いいえ、私も一緒に行くわ。この状況でアレスをひとりにできるわけないでしょう」
「ですが……少々見苦しい姿になるのです」
「だからなに? そんなことで私の愛が消えることはないわ」
「……ふっ、そうですね。では一緒に行きましょう」

 予想外の展開に、慌ててロザリアを引き止める。

「待て! ロザリア様には危険すぎるだろう! 私たちと一緒に避難するのだ!!」
「避難するならおふたりでどうぞ。ここでアレスとともに死ぬのならそれも本望です」

 そう言い残して、ロザリアはアレスと一緒に魔物の方へ駆け出した。
 これは想定外だ。なぜ王太子妃ともあろう女が魔物の討伐へと向かうのだ!?

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