捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
 少しも思い通りにいかない展開に、苛立ちが募る。私だけここで逃げ出すよりは、戦闘に参加してアレスが自滅するように仕向けるべきか。
 しかし相手はバハムートだ。一匹だけでも騎士団総出で討伐にあたるのだ。それが二十匹では、下手したら私がやられてしまう。

 クリフに視線を向けると、上空を見つめたまま間抜けな顔をしていた。
 いったいなにがあるというのか、私も同じく空を見上げる。

 そこには、二十匹のバハムートを手玉にとるアレスの姿があった。
 アレスの様子はいつもと違っていて、角が生えてドラゴンのような翼までついている。ロザリアを抱えたまま器用に空を飛んで、次々と青い炎で魔物たちを焼き尽くしていた。

「な……なんだ、あの魔法は? 青い炎なんて見たことないが火炎魔法なのか? それにしては威力が違いすぎる……」
「これが竜人の力なのか……すげえな」

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