捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
 クリフ様の真剣な様子に、今までは手を抜いていたのかと感じてしまう。真面目にやってくれるのは嬉しいが、それなら最初からお願いしたいものだ。

 それから三時間ほど経った。
 今日も野営かと覚悟を決めた時だった。

「……っ! こっちだ!!」

 クリフ様が突然叫んで、走り出した。慌てて私たちも後を追う。
 草に覆われてわかりにくかったけれど、小さな洞窟の前でクリフが立ち止まっていた。入り口は大人が屈んで入れるかどうかくらいの大きさしかない。中は真っ暗でどうなっているのかも、まったく見えなかった。

「もしかしてここにレッドベリルがあるの?」
「ああ、間違いない。この匂いはレッドベリルだ。それもかなりの上物だな。だけど……」

 クリフ様は言葉を濁す。洞窟の入り口が小さすぎて、クリフ様の体格では入ることができないのだ。アレスもハイレット様も男性で、身体つきがしっかりしているから難しいだろう。

「ここの地盤じゃ入り口を削っても、その衝撃で洞窟が埋まっちまったら採掘すらできなくなるな」
「わかりました。では私が入って採ってきます」
「はっ、肝が座ってるな! わかった。じゃあ、採り方を教えるよ」
「お願いします」

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