捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
「私の部屋へ行く前にお嬢様のお部屋の場所も把握しておきたいので、お供いたします」
「え、そんなに心配しなくても大丈夫だと……」
「いいえ、これは譲れません。前回のこともありますので」
「前回のこと?」
「とにかくお嬢様の部屋へまいりましょう」
私は女性ということで、特別仕様の部屋だった。
心配性のアレスもついてきて、部屋の中までチェックして満足したようだ。アレスが部屋を出る直前に「夜になったらまた来る」と、耳元で囁く。こういうのは腰が砕けそうになるのでやめてもらいたい。
客室には担当のメイドがいて、私のお世話をしてくれるのは愛想のいい猫族の獣人だ。耳や尻尾が感情に合わせて動くのをほっこりした気分で見ていた。
晩餐も豪勢な料理が並べられ、和やかな雰囲気のまま終わる。もしかしたら、また揉めるかと思ったけれど思い過ごしだった。
湯浴みを済ませると、メイドが就寝前におすすめのお茶があるというのでいただくことにした。
「ロザリア様、お待たせいたしました。こちらはファステリア王国の特産茶葉を使ったお茶です。甘い香りが特徴で初めての方でもとても飲みやすいです」
「本当だわ。とてもいい香りね」
ふんわりと甘く香るお茶は、優しい味がした。お土産に買って帰ろうかとメイドに聞こうとして、クラリと意識が遠のく。
「え……どうし……て」
どんどん暗くなっていく視界に最後に映ったのは、申し訳なさそうなメイドの顔だった。
「え、そんなに心配しなくても大丈夫だと……」
「いいえ、これは譲れません。前回のこともありますので」
「前回のこと?」
「とにかくお嬢様の部屋へまいりましょう」
私は女性ということで、特別仕様の部屋だった。
心配性のアレスもついてきて、部屋の中までチェックして満足したようだ。アレスが部屋を出る直前に「夜になったらまた来る」と、耳元で囁く。こういうのは腰が砕けそうになるのでやめてもらいたい。
客室には担当のメイドがいて、私のお世話をしてくれるのは愛想のいい猫族の獣人だ。耳や尻尾が感情に合わせて動くのをほっこりした気分で見ていた。
晩餐も豪勢な料理が並べられ、和やかな雰囲気のまま終わる。もしかしたら、また揉めるかと思ったけれど思い過ごしだった。
湯浴みを済ませると、メイドが就寝前におすすめのお茶があるというのでいただくことにした。
「ロザリア様、お待たせいたしました。こちらはファステリア王国の特産茶葉を使ったお茶です。甘い香りが特徴で初めての方でもとても飲みやすいです」
「本当だわ。とてもいい香りね」
ふんわりと甘く香るお茶は、優しい味がした。お土産に買って帰ろうかとメイドに聞こうとして、クラリと意識が遠のく。
「え……どうし……て」
どんどん暗くなっていく視界に最後に映ったのは、申し訳なさそうなメイドの顔だった。