捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
 次に意識が浮上してきたのは、どれくらい経ってからだろうか。
 ふわふわと雲の上を歩いているみたいに、現実味がない。

 私はなにをしていたっけ?
 それすらも朧げではっきりとしない。ゆっくりと意識が覚醒していくのとともに思い出していく。

 レッドベリルを見つけたのは覚えている。それからクリフ様のお屋敷に招待された。部屋でメイドにお茶を入れてもらって、それを飲んだら意識が遠のいた。

 そうだ、あの急激な眠気——私は薬を盛られたのだ。

 一気に思考が明瞭になり、ぱちっと目が覚めた。
 どうやら私は深く眠っていたようだ。すっきりとした頭で現状を把握していく。

 私はベッドに寝かされていて、身体を起こすと両腕に重みを感じた。じゃらりと音を鳴らして両手を繋ぐ鎖が垂れ下がる。これは、魔封じの手枷だ。これでは魔法が使えない、つまり魔銃も使えない。

 周囲を見回したが、案内された部屋からは移動してはいなかった。飲みかけだったお茶はすでに片付けられていたが、ソファーに腰掛けている人物が視界に入る。

「……ハイレット様?」
「ああ、ロザリア。目が覚めたか」

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