捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
「おい、ハイレット! 抜け駆けはなしだって言ったろ!」
「うるさい、それよりアレスはちゃんと始末したのか?」
「毒が効かなかったから魔封じの手枷も拘束具もつけて、ちゃんとお前の用意した騎士団の前に置いてきたよ!」
「やはりか、竜人とは本当に化け物だな」

 ふたりの会話に呆然とする。
 アレスが、殺される? まさか、そんな。あんなにも強いアレスが?
 違う……覚醒した竜人を殺せる存在なんているはずない。探しにいかないと、アレスのそばに行かないと……!!

 そう思うのに、いつも感じていた番の存在感をまるで感じなくて、狂気が私を蝕んでいく。

「それよりなあ、ロザリアはオレの番にするんだ! お前は引っ込んでろ!!」
「なにを言う! ロザリアは私の妻になる運命なのだ! お前こそでしゃばるな!!」


 ——どこにもいない。

< 144 / 200 >

この作品をシェア

pagetop