捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
 次の瞬間、足首の辺りでカチリと金属が嵌め込まれた音がした。途端に魔力が放出できなくなり、俺の張った結界もパリンッとガラスが割れるように消え去る。

 立て続けに囚人用の捕縛魔道具が使われて、俺の身体は縛り上げられ膝をついた。

「やった……やったわ!! 竜人を捕まえたわ!!」

 メイドの言葉を皮切りにして、騎士たちがドカドカと遠慮なしに部屋に入ってくる。
 
「やったのか! 竜人を捕まえたんだな!!」
「これでこの男を処分すれば、帝国はより強大になる!」
「おいおい、屋敷で処分するのはやめてくれよ。片付けが面倒くせえ」

 騎士と一緒に商会長が顔を見せた。
 なるほど、皇太子と商会長が手を組んでいたか。ならば狙いはロザリアしかない。

「じゃあ、あとは頼んだぞ。オレはロザリアを番にしてくる」

 そう言って商会長はさっさと部屋から出ていった。
 ロザリアの気配を探ろうにも、魔封じの魔道具が邪魔をしている。どうとでもなる状況だが、ひとつ確認しておきたいことがある。

「弟が人質に取られているというのは嘘だったのか?」
「あら、そんなこと気にしていたの? ふふふっ、甘っちょろいのねえ、あんたを騙すための嘘に決まってるじゃない」
「そうか、では遠慮はいらないな」

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