捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
 それならロザリアが心を痛める要素はなにもない。
 まあ、我ながらよく耐えたと思う。ロザリアのためならどんなことでも笑顔でこなす自信があるが、さすがにここまでされて黙っていられるほど聖人君子ではない。

 人のものを奪うというなら、奪われる覚悟もできているのだろう。
 俺からロザリアを奪うだって?
 そんなこと許すわけないだろう?

 俺は竜人の覚醒した力を解放する。
 圧倒的な力の前に、こんな魔道具など意味がない。魔力を使うまでもなく、ただ腕力だけで拘束具を引きちぎった。

「えっ……! ちょっとなんで!?」
「拘束の魔道具を引きちぎっただって!?」
「そんな馬鹿な……! この魔道具は破壊できないように強化しているんだぞ!?」

 バラバラとカーペットに落ちる魔道具はもう鉄屑になっている。ロザリアを探すために、足首につけられた魔道具も引きちぎった。
 そして静かに覇気を放ち、俺たちの敵を威嚇する。

「や……やばいわ…… ! 魔封じの魔道具も壊された!!」
「そんな、相手は竜人だぞ! どうやって倒すんだ!?」
「うわああああああっ!!」

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