捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
 ブルリア帝国なら素材も世界中から集まるし、新婚旅行先としても楽しめそうだ。建国記念パーティーであれば、帝都もお祭り騒ぎだろうから、アレスと回れば素敵な思い出になる。

 なにより、このパーティーには各国から要人が集まるのだ。カイル様とジュリア様のおかげで魔道具の大量生産が叶いつつあるから、途中でスレイド伯爵領に寄ってお父様に話もしたい。

 その準備としてパーティーで人脈を作って、販路拡大の後押しができたらラクテウス王国の魔道具販売は安泰だ。なんだかんだいっても、ブルリア帝国は世界一人口が多いのだから使わない手はない。

 こんなところで、つらかった王太子妃教育が活かせるなんて思わなかった。でもラクテウス王国で役に立つためだったと思えば、今までの経験が宝のように思えてくる。

 あの時アレスに教えてもらって、ノイエール語もカルディア語も話せるから、世界中の要人と直接交渉もできる。これは私がラクテウス王国のために尽くせる、最大のチャンスなのだ。

「俄然やる気が湧いてきたわ……!」
「いったいなんのやる気ですか……?」

 頬を染めたアレスに心臓が止まりそうになるほどキュンとしたけれど、グッとこらえて今回の目的を告げた。
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