捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
 それから三時間後に準備が整ったと声がかかった。私とアレス、竜王様は場所を変えて大勢が集まれる謁見室へと向かう。
 謁見室へ入ると一斉に視線が私たちに集まった。注目を浴びながら優雅に進み、皇帝の前で足をとめる。指示した通り氷漬けの騎士も、ハイレットも拘束された状態でこの場にいた。それに加えてセラフィーナ皇女の顔もある。
 逃げられないと悟ったのか、顔色が土色になった皇帝が口を開いた。

「それで、お前の希望とはなんだ」
「その前に竜王様からお話があります」

 そこで竜王様が皇帝の玉座の前に出て、皇帝に声をかける。

「ねえ、さっきからずいぶんと偉そうだね? うちの義娘に無礼な口を聞くのは許さない。お前はこの玉座にふさわしくないな。今すぐそこをどけ」

 竜王様の覇気のこもった言葉に、皇帝は言われるがまま玉座から退いた。そしてさも当然のように竜王様が玉座に腰かける。なるほど、アステル王国の時もこうやったのかと納得した。
 過去の回想はそこまでにして、いよいよ断罪する時が来た。竜王様が玉座から高らかに宣言する。

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