捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
「アレス、今回の新婚旅行はとても重要なの。なにがなんでも、王太子妃としてのお役目を果たすのよ!」
「お役目……それは私にとっても重要なお役目ですよね?」

 アレスにも私の気持ちが伝わったのか、真剣な表情で身を乗り出してくる。

「もちろんよ! 私たちが力を合わせれば、ラクテウス王国の発展に繋がるわ!」
「それは、つまり……いえ、もう少し夫婦だけでよかったのですが……お嬢様が望むならやぶさかではありません」

 珍しくアレスが恥ずかしそうにもじもじしている。だけど私の望みに協力はしてくれるようだ。アレスの力も借りられるなら心強い。

「夫婦だけ……そうね、今は私とアレスだけだから、全力で取り組みましょう!」
「はあ、こんなにも熱くお嬢様から求められるとは思いませんでした。ですが、お望みであれば私も全力を尽くします!」

 アレスも販路拡大のために動いてくれるなら、魔道具の生産が足りるか不安だ。後でカイル様とジュリア様に、もっとペースを上げてもらうよう頼んでみよう。

「……このふたり、大丈夫かな」

 竜王様の呟きは、販路拡大に燃える私の耳には届かなかった。


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