捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
4話 晩餐会
それから二ヶ月後。
私とアレスは建国記念パーティーの前日にブルリア帝国に入った。
王太子夫妻が参加すると竜王様が返事をしたら、皇帝から晩餐に招待されたのだ。やっと招待に応じた竜人と親交を深めたいのだろう。帝国が相手でも嫌なことははっきり拒絶していいと、竜王様からお墨付きをいただているから気が楽だ。
アレスの魔法で皇城の正門前へ転移すると、すぐに門番が城内へ通してくれた。エントランスでは外交官が待機していて、私たちを晩餐会場へと案内してくれる。
移動の途中、外交官が人好きのする笑顔でアレスに話しかけてきた。
「このたびは招待に応じてくださり、誠にありがとうございます」
「いや、こちらも帝国に用があったのでタイミングがよかったのだ」
今日のアレスはラクテウス王国の王太子として参加しているので、いつもの燕尾服は着ていない。
前髪も右側だけ後ろに流して、端正な顔が惜しみなく披露されている。大きめの襟のジェストコートは金糸の美しい刺繍がされて、アレスの夜空の瞳を一層煌めかせていた。ロングブーツを履きこなす引き締まった長い足は、私に合わせてゆっくりと歩を進めている。