捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
 でもアレスを褒められるのは嬉しいけれど、なんだか落ち着かなくて、ここでもか……とこっそりため息を吐いた。

「ロザリア」
「なに?」
「俺はロザリアしか視界に入っていない」
「えっ……どうしたの、突然」
「だからロザリアも俺だけ見て」

 そう言って、私の手を取り指先に唇を落とす。そのまま指を絡めて唇の動きだけで「愛してる」と囁いた。
 何度も何度も愛を囁くアレスの声が、私の脳裏で鮮明に蘇る。
 そうだ、こんなにもありありと浮かぶほどアレスから愛を伝えられてきた。

 もう周りを気にするのはやめにしよう。確かに他の女性がいくら秋波を送っても、アレスは決して揺るがない。
 もっと自信を持とう。アレスが愛するのは私だけなのだと。

 その後は極上のスイーツを頬張り、アレスと帝都の街でデートを楽しんだ。



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