捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
27話 オーロラパールの効果
アレスの転移魔法でスレイド伯爵領に一瞬で移動した。
以前と変わらない佇まいに、ホッと心が安堵する。久しぶりの帰省だったけれど、体調が悪いと心配させるのも嫌だからお土産を渡したらすぐにラクテウスに戻るつもりだ。
屋敷の扉を開いて玄関ホールにはいると、すぐに家令のブレスがやってきた。
「ロザリア様! アレス様も……よくお戻りになられました」
いつもはキリッとしている目元を下げて、いつでも心から歓迎してくれる。アレスに対しても、私の夫になってから敬意を示してくれていた。
「ブレス、元気にしてた? 今日は新婚旅行のお土産を持ってきたの。みんなはいるかしら?」
「左様でございますか。あいにくスレイド伯爵は外出しておりますので、奥様にお伝えしてまいります」
「そう、ではお母様をお願い」
セシリオはすでに成人し国のために出仕しているので、私が王太子妃教育の時に使っていたタウンハウスで暮らしている。今は両親だけがこの屋敷に住んでいるのだ。
「ロザリア、先に客間で待たせてもらおう。ブレス、準備を頼む」
「承知しました」