捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
 お母様は目ざとくテーブルの果実水を見つけて、問いかける。

「あら、珍しいわね。いつも温かい紅茶なのに」
「そうなの、ちょっと長旅で疲れてしまって、船酔いが治らなくて……」
「申し訳ありません。俺がついていながら、ロザリアに不調が出るまで気が付きませんでした」
「船酔いが治らない……?」

 お母様は私の顔をジッと見つめて、なにか思案している。

「ロザリア、それなら数日ここでゆっくりしていきなさい。お父様も喜ぶし、セシリオも二日後に戻ってくる予定があるの。体調が戻ってからラクテウスに戻るといいわ」
「でも……」
「義母上に従おう、ロザリア。あと数日伸ばしても変わらない」
「わかったわ、無理に帰っても余計心配させてしまうものね」

 ふたりの助言に従い、実家に滞在することにした。私の部屋は今もそのままだったので、そちらに移動してベッドに入ると途端に睡魔が襲ってくる。
 アレスがなにか話しかけてきた気がしたけれど、そのまま眠りに落ちてしまった。



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