捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
 目が覚めると、アレスの優しく光る夜空の瞳が私を見つめていた。ベッドサイドに椅子を置いて、ずっと様子を見てくれていたようだ。

「ごめんなさい、眠ってしまってわ」
「大丈夫だ。もうすぐ医者も来るから、念のために診てもらおう」
「そうなの? 眠ったからスッキリしたけれど……」

 ひとりで寝ているのがなんとなく寂しくて、アレスの温もりも求めて手を伸ばす。それに気付いたアレスが月のように優しく微笑んで、私の手を握りしめた。

「俺を安心させるためだと思ってくれ。義父上にもお伝えして、医者の手配を頼んだ」
「……心配かけてごめんなさい」
「謝ることはない。俺はロザリアの隣にいられれば、それだけでいいんだ」

 それからお土産はお母様に渡したとか、セシリオが予定を早めて明日帰ってくるとか、他愛のない会話を続けた。すると知らせを受けたお父様が、医者を連れて帰ってきたとブレスが案内してきた。

「ロザリアッ! ああ! いいんだ、横になったままでかまわないから! 調子はどうだ? なにか食べられるか? 欲しい物はなんでも言うんだぞ、お父様がどんな物でも用意するからな」
「ふふっ、お父様。ありがとうございます。でもアレスがいるから大丈夫です」
「アレスだと……!」

 お父様がなにか大きなショックを受けていたようだけれど夫に頼ると言っただけだし、そんなにおかしいことは言ってないはずだ。そこへお母様がやってきて、お父様を連れ出してくれた。

< 191 / 200 >

この作品をシェア

pagetop