捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
 それから数分後、お父様とお母様が待ちきれないと言わんばかりに部屋に雪崩れ込んできた。

「ロザリア! 懐妊か!? 懐妊と聞いたが、本当か!?」
「やっぱりそうだったのね! もしかしたらと思ったのよ!!」

 お母様の言葉を聞いて、だから休んでいけと言ったのかと納得する。お父様は「孫……孫が……!」と嬉しさに震えていた。

「竜王様たちにもお伝えしないとね」
「そうなんだが……伝えたが最後、絶対にここへ来ると思うがロザリアの負担にならないか?」

 確かにそうだ。竜王様の性格なら、サライア様とカイル様、ジュリア様も連れてみんなで来るに違いない。そしてそれが、私を大切だと思ってくれているからだとわかっている。
 アレスは私がさらに体調を悪くするのではと考えてくれていたのだ。

「大丈夫よ。竜王様たちも私の大切な家族ですもの。早くお伝えしたいわ」
「ロザリア……そう言ってくれてありがとう。それならすぐに伝えにいく」
「ああ、アレス。そのままセシリオも頼めないか? 明日などと悠長なことを言ってられん。今日の出仕が終われば、すぐにでも連れてきてほしい」
「わかりました。ではラクテウスに戻った後、セシリオ様を連れてまいります」

 そんな急がなくても……という言葉は、みんなの嬉しそうな笑顔を見て呑み込んだ。


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