捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
 カイルとジュリアは私がアレスと結婚し家族になったのだからと、呼び捨てしてほしいと頼まれた。今では慣れたけれど、最初の頃は大きな違和感があった。
 用意してくれたのは淡いブルーの帽子で、ひと目で中身がわかるようにかわいらしく梱包されている。まだ性別がわからないけれど、大丈夫かと考えていたら、サライア様が続けて説明してくれた。

「ふふ、竜人と番の間に生まれるのは男児だけなのよ。だからこの帽子は必ず役に立つわ」
「そうだったのですね……ああ、なるほど。納得です」

 だから最初の頃、魔道具を愛用する番を喜ばせたいとオーダーしてきたのは、男性の竜人ばかりだったのかと思い出した。魔道具が普及していなかったのは竜人が必要としなかったからだ。
 利便性を理解してもらえてからは女性の竜人もオーダーに来ていたけれど、それでも圧倒的に男性の竜人が多かった。

「お腹にいる子は男の子なのね……ふふ、名前も考えなくちゃ」
「そうだよ、悩んだらいつでも僕が相談に乗るからね」
「いえ、竜王様。僭越ながらその役目は娘の父である私に任せていただきたい」
「いやいや、だってこの子はラクテウスの竜王になる子かもしれないし。僕が適任だよ」

 なんとお父様と竜王様で、相談役の奪い合いが始まってしまった。すかさずお母様とサライア様がとめに入る。

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