捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
「皇帝陛下、お待たせいたしました。こちらがラクテウス王国よりお越しくださいましたアレス王太子夫妻です」

 外交官が声をかけると、一番奥の席に座っていた男性が立ち上がった。

「私がブルリア帝国の皇帝ナルシス・フォン・ブルリアです。我がブルリア帝国の建国記念パーティーと、晩餐会への参加に心より感謝申し上げます」
「ラクテウス王国、王太子アレス・レヴィ・ラクテウスと申します。こちらが妻のロザリアです」
「初めまして。このたびはご招待いただき、ありがとうございます」

 お礼を告げ、優雅な仕草でカーテシーをする。挨拶も済んだので、皇帝陛下の斜め前にアレスと並んで席に着いた。
 テーブルにはさまざまな料理が並べられて、どれも豪華で美しく盛り付けされている。給仕たちが料理を取り分けている間に、同席者の紹介が始まった。

「アレス様もロザリア様もお久しぶりですね。ご健勝のようでなによりです。立太子も済ませ、私がラクテウス王国の外交担当となっております。今後はより親密なお付き合いができればと存じます」

 最初に口を開いたのは、ハイレット皇太子だ。
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