捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
 皇族の証であるプラチナブロンドの髪をさらりと揺らして、爽やかに微笑んでいる。翡翠のような瞳は穏やかで、以前の私たちの破廉恥な振る舞いはそっとしておいてくれるみたいだ。大人な対応に感謝しかない。

「初めてお目見えいたします。わたくし、皇女のセラフィーナでございます。おふたりにはずっとお会いしたいと思っておりました。本日は夢が叶いとても心が弾んでます。それにしてもアレス殿下がこんなに素敵な方だとは思いませんでしたわ!」

 次に自己紹介したのはセラフィーナ皇女だ。絹のようなプラチナブロンドの髪を背中に流して、大きな翡翠の瞳がキラキラと輝いている。人形のように顔立ちが整っていて、表情豊かなかわいらしい女性だ。
 だけど、アレスに対して頬を染めて潤んだ瞳で見つめるのはやめてもらいたい。アレスが素敵だからうっとりするのはわかるけれど、今は私の夫なのだ。

「ロザリア、俺はロザリアしか見てない」
「……大丈夫よ。ちょっと気持ちが揺れただけだから」
「そうか? 嫉妬してくれたと思って嬉しかったのに」

 私の心の変化を敏感に察したアレスが、小声で安心させるように囁いてくれた。
 夜空の瞳の奥には、私だけに見せる狂愛の炎が揺れている。そんな風に特別だと言ってくれるだけで、騒めいた心は落ち着いていった。
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