捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
「すまない。セラフィーナは成人したばかりで、思ったことを口にしてしまうのだ。アレス殿下が素晴らしい御仁で、心を動かされたのだろう」
「そうなんですの! 申し訳ございません。あまりにもアレス殿下が理想の王子様にぴったりで、つい浮かれてしまったのですわ……」

 そう言ってセラフィーナ皇女はしょんぼりとする。
 本当にクルクルと表情が変わって、成人したばかりとはいえ少し幼すぎないだろうか。このような外交の場で感情を表しすぎるのは、自国にとってもいいことばかりではないだろう。

「ロザリア様、私からもお詫びいたします。兄としてセラフィーナを甘やかしすぎたようです。悪気はないのでどうかご容赦ください」
「ハイレット殿下が悪いわけではございません。私も弟は目に入れても痛くないほどかわいがりましたもの」
「そうでしたか、確か今はアステル王国の文官をされていらっしゃるのですよね?」
「ええ、よくご存じですね。今は国土の整備を担当する部署についております」

 こうして場の空気も和み、外交官と宰相の自己紹介も終わり晩餐会はつつがなく終わった。
 翌日の建国記念パーティーに参加するため、この日は皇城に部屋を用意してもらうことになっていたのだが——


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