捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
なぜかアレスが皇城に宿泊することを断固拒否して、帝都の高級ホテルに部屋を取ったのだ。
最上階のスイートルームは、優雅で洗練されたインテリアでまとめられている。部屋の中央にあるテーブルには帝国の季節の花が飾られて、ほんのりと甘い香りを放っていた。ベッドルームも広々としていて、ゆったりと過ごせそうだ。
テーブルには花だけでなく、季節のフルーツも色鮮やかに盛りつけられている。私は真っ赤に熟れた苺をつまみながら、アレスに問いかけた。
「ねえ、どうして皇城に泊まらなかったの?」
「お嬢様、あの皇太子の視線に気が付かなかったのですか?」
「え? 始終穏やかだったと思うけど……?」
思い返してみても、ハイレット殿下が私に秋波を送ってきている様子はなかった。それなのにアレスから放たれる空気が、いばらで全身を巻かれたみたいにチクチクと突き刺さる。
「……そうですか、そう思われるならそれでも結構です。ですが、自分の妻に下心を抱く男と同じ屋根の下にいて、ゆっくり眠れると思いますか?」
アレスの夜空の瞳がギラリと光る。
最上階のスイートルームは、優雅で洗練されたインテリアでまとめられている。部屋の中央にあるテーブルには帝国の季節の花が飾られて、ほんのりと甘い香りを放っていた。ベッドルームも広々としていて、ゆったりと過ごせそうだ。
テーブルには花だけでなく、季節のフルーツも色鮮やかに盛りつけられている。私は真っ赤に熟れた苺をつまみながら、アレスに問いかけた。
「ねえ、どうして皇城に泊まらなかったの?」
「お嬢様、あの皇太子の視線に気が付かなかったのですか?」
「え? 始終穏やかだったと思うけど……?」
思い返してみても、ハイレット殿下が私に秋波を送ってきている様子はなかった。それなのにアレスから放たれる空気が、いばらで全身を巻かれたみたいにチクチクと突き刺さる。
「……そうですか、そう思われるならそれでも結構です。ですが、自分の妻に下心を抱く男と同じ屋根の下にいて、ゆっくり眠れると思いますか?」
アレスの夜空の瞳がギラリと光る。