捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
この雰囲気は私にとってよろしくない気がしてならない。これは前に他の竜人を褒めた時に似ている。切なそうに、悔しそうに、それでもなお激しく求めるような視線。
ひとつだけ違うのは。
「ロザリアは俺の妻だ。他の雄が想いを寄せたところで無駄だと、わかりやすく印をつけないとダメだな」
アレスが嫉妬の炎を抑える気がまったくないことだ。すでに専属執事モードは解除され、夫の顔になっている。
「待って、アレス! し、印ってまさか……!?」
「真っ赤なキスの花びらに決まっているだろう?」
アレスがニヤリと笑った。その黒い笑顔を見て、封印したい恥ずかしい過去の記憶が蘇る。
前に魔道具の開発の手伝いをした報奨で赤い花びらが欲しいと言われ、快諾したことがあった。それがキスの花びらだと後から知って、それはもう必死な思いで赤い花びらをアレスに贈ったのだ。
これはマズい、あの時と同じ顔だ。いや、さらにドス黒い。
「あ、あのね、アレスが私を大切にしてくれて、唯一なのもわかっているから、そんなに目立つようなことをしなくても大丈夫だと思うの」
「いや、ロザリアが男の下心に一ミリも気付かないから、不安しかない」
ひとつだけ違うのは。
「ロザリアは俺の妻だ。他の雄が想いを寄せたところで無駄だと、わかりやすく印をつけないとダメだな」
アレスが嫉妬の炎を抑える気がまったくないことだ。すでに専属執事モードは解除され、夫の顔になっている。
「待って、アレス! し、印ってまさか……!?」
「真っ赤なキスの花びらに決まっているだろう?」
アレスがニヤリと笑った。その黒い笑顔を見て、封印したい恥ずかしい過去の記憶が蘇る。
前に魔道具の開発の手伝いをした報奨で赤い花びらが欲しいと言われ、快諾したことがあった。それがキスの花びらだと後から知って、それはもう必死な思いで赤い花びらをアレスに贈ったのだ。
これはマズい、あの時と同じ顔だ。いや、さらにドス黒い。
「あ、あのね、アレスが私を大切にしてくれて、唯一なのもわかっているから、そんなに目立つようなことをしなくても大丈夫だと思うの」
「いや、ロザリアが男の下心に一ミリも気付かないから、不安しかない」